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弁護士 石黒 保雄

2018年01月22日

ロシアW杯 グループリーグを展望する

(丸の内中央法律事務所事務所報No.32, 2018.1.1)

□  2017年12月1日、FIFAワールドカップロシア大会の組み合わせ抽選会が行われました。今大会は、イタリア、オランダ、チリ、アメリカなどが予選で敗退したものの、それ以外の強豪国は概ね予選を勝ち上がりました。そして、上記抽選会の結果、各グループ毎に特色のある組み合わせとなりましたので、約半年以上先の話ではありますが、現時点における独断と偏見による各国のグループリーグ突破の可能性を論じてみたいと思います。

A組(ロシア・サウジアラビア・エジプト・ウルグアイ)

□  開催国ロシアがシードされたA組は、日本としては是非とも入りたい組でしたが、残念ながら同じアジアのサウジアラビアが先に選ばれてしまいました。但し、この組と日本が入ったH組は、欧州が1か国のみ(A組はロシア、H組はポーランド)であるため、混戦模様のグループといえるでしょう。

□  A組の本命はウルグアイで、スアレス(バルセロナ)とカバーニ(パリ・サンジェルマン)の2トップは大会屈指の得点力があり、ゴディンとヒメネス(いずれもアトレティコ・マドリード)を中心とする守備も堅く、他の3か国を一歩リードしていると思います。

  開催国ロシアは、ソ連崩壊後に出場した3度のW杯はいずれもグループリーグで敗退し、選手の世代交代や強化策も効を奏しておらず、地元の利をどこまで生かせるかが鍵となります。
 エジプトは7大会ぶりの出場ですが、2006年からアフリカ選手権を3連覇しており、エースのサラー(リバプール)を中心にプレミアリーグ(イングランド)で活躍する選手を多く擁し、躍進を期待できます。
 サウジアラビアは、国外移住制限により原則として国内クラブに所属する選手のみが代表となるため選手の国際経験が乏しく、また予選突破後の不可解な監督交代もマイナス材料です。

□  グループリーグ突破の可能性は、ウルグアイ80%、エジプト60%、ロシア50%、サウジアラビア10%と見ています。

B組(ポルトガル・スペイン・モロッコ・イラン)

□ 今大会の抽選で最も注目されたのが、第2ポッドグループに入ったスペインがグループリーグでどの強豪国と対戦するかという点でしたが、隣国のシード国ポルトガルのグループに入りました。この組はG組と並んで、欧州の2チームでほぼ間違いないと思います。

□  ポルトガルは、2016年のユーロで組み合わせに恵まれたとはいえ初優勝を果たし、欧州最終予選B組でもスイスとの一騎打ちを最終節の直接対決で逆転するなど、勝負強さが出てきました。4回目のW杯となるロナウド(レアル・マドリード)がW杯の舞台で本領を発揮できるか楽しみです。
 他方スペインは、前回W杯でまさかのグループリーグ敗退となりましたが、ロペテギ新監督の下世代交代を進め、欧州最終予選G組でもイタリアを下して無敗で通過し、間違いなく優勝候補の一角です。カタルーニャの分離独立問題が選手間に良からぬ影響を及ぼさないことを祈るばかりです。
 モロッコ(アフリカ最終予選C組で失点0)とイラン(アジア最終予選A組で失点2)は、お互いに堅い守備を武器に2強相手にどこまで戦えるかが注目で、カウンターからの逆襲に期待したいところです。

□  グループリーグ突破の可能性は、スペイン95%、ポルトガル90%、モロッコ10%、イラン5%と見ています。

C組(フランス・オーストラリア・ペルー・デンマーク)

□ この組の特徴は、優勝候補のフランスに、最終予選後のプレーオフという極限状況を突破してきた3つの国が挑むという構図にあると思います。

□  フランスは、自国開催の2016年ユーロにおいて準決勝でドイツを倒しながら決勝でポルトガルに敗れるという屈辱を経て、オランダ、スウェーデンと同組になった欧州最終予選A組を1位で通過してきました。FWグリーズマン(アトレチコ・マドリード)、MFポグバ(マンチェスター・ユナイテッド)を始め、あらゆるポジションにタレントを揃えているうえに、しかもFWエムパベ(パリ・サンジェルマン)などの若手の逸材も現れ、デシャン監督の統率力も冴えています。
 デンマークは、南アフリカW杯で日本に敗れて以来の出場になりますが、エースのエリクセン(エバートン)がチームの浮沈の鍵を握っています。
 ペルーは、ドーピング陽性反応が出て大陸間プレーオフに出場できなかったFWゲレーロ(フラメンゴ)の本大会出場が絶望的ですが、序盤6試合1勝1分4敗から最終的に南米最終予選を勝ち抜いた粘り強さに注目です。
 オーストラリアは、2017年8月末のアジア最終予選B組で日本に完敗するなど、目指すポゼッションサッカーが機能しておらず、苦戦は免れないでしょう。

□  グループリーグ突破の可能性は、フランス90%、デンマーク50%、ペルー40%、オーストラリア20%と見ています。

D組(アルゼンチン・アイスランド・クロアチア・ナイジェリア)

□  今大会は死の組がないと言われていますが、強いて挙げればこの組ではないでしょうか。アルゼンチンが有力とはいえ、他の3か国も一筋縄ではいかないチームが揃いました。

□  アルゼンチンは、南米最終予選で大苦戦し、最終節でメッシ(バルセロナ)のハットトリックでようやく本大会出場を決めました。課題は得点力不足で、イグアイン、ディバラ(いずれもユベントス)、イカルディ(インテル)、アグエロ(マンチェスター・シティ)、ディマリア(パリ・サンジェルマン)など、世界中が羨むFWを多数有していながら、代表のサッカーに適合していないのか、なかなか結果が出ていません。就任間もないサンパオリ監督がどのような手腕を発揮するか注目です。
 アイスランドは、人口僅か33万人にもかかわらず、欧州最終予選I組で同組のクロアチアを退けて1位通過しました。2016年ユーロで見せた団結力が健在で、今大会も最後まで諦めない試合を見せてくれるでしょう。
 クロアチアは、モドリッチ(レアル・マドリード)、ラキティッチ(バルセロナ)などのタレントが多数揃い、今大会のダークホースと見られていますが、好不調の波が大きいところがやや不安です。
 ナイジェリアは、カメルーン、アルジェリア、ザンビアなどが入り死の組と言われたアフリカ最終予選B組を無敗で突破し、2017年11月のアルゼンチンとの親善試合に4-2で勝利するなど着実に結果を残しており、未知の魅力に溢れています。

□  グループリーグ突破の可能性は、アルゼンチン65%、クロアチア55%、アイスランド45%、ナイジェリア35%と見ています。

E組(ブラジル・スイス・コスタリカ・セルビア)

□  この組は、圧倒的な戦力を有しているブラジルにとってもなかなか手強い3か国が揃い、面白い試合が見られそうです。

□ ブラジルは、2016年8月のチッチ監督就任後、従来のテクニックにプラスして、組織立った攻撃と守備を兼ね備えたサッカーを行うようになり、南米最終予選を8連勝してロシアW杯出場一番乗りを果たしました。前線ではコウチーニョ(リバプール)、ジェズス(マンチェスター・シティ)というタレントが現れ、ネイマール(パリ・サンジェルマン)頼りだった前回大会よりも攻撃力が格段に上がり、攻守共に隙がありません。
 スイスは、前回W杯ベスト16、2016年ユーロベスト16と、いずれもグループリーグを突破しており、黄金世代と言われた選手が主力となった今大会はさらなる上位進出が期待されます。
 コスタリカは、前回W杯グループリーグで死の組と言われながらウルグアイとイタリアに勝利してベスト8に進出し、今大会の北中米カリブ海最終予選でもアメリカに連勝するなど、侮れない存在となっています。
 セルビアは、欧州最終予選D組でアイルランド及びウェールズを抑えて1位通過し、東欧のブラジルと呼ばれたテクニックは健在であるものの、度重なる監督交代に見られるような内紛問題が影を落とす可能性があります。

□  グループリーグ突破の可能性は、ブラジル95%、スイス40%、コスタリカ35%、セルビア30%と見ています。

F組(ドイツ・メキシコ・スウェーデン・韓国)

□  私は、組み合わせ抽選会の中継を見ていましたが、最後に日本と韓国が残り、F組かH組のいずれかになることが決まったとき、頼むからF組を避けて欲しいと祈りました。そのくらい、F組の3か国は手強いと思います。

□  ドイツは、言うまでもなく前回W杯の優勝国であり、2017年6月のコンフェデレーションズカップも2軍に近いメンバーで優勝し、欧州最終予選C組も10戦全勝、得点43、失点4という圧倒的な成績で勝ち上がりました。あえていえばCFと左SBに課題が残るものの、W杯におけるこれまでの勝負強さを考えれば、優勝候補の筆頭といえるでしょう。
 メキシコは、北中米カリブ海最終予選を3試合残して1位で通過し、2017年11月の親善試合でもベルギーに3-3、ポーランドに1-0という好成績を残しました。そして何より、W杯本大会では6大会連続してベスト16に進出しており、安定した強さを誇っています。
 スウェーデンは、欧州最終予選A組2位であったものの、3位のオランダを敗退へ追い込み、1位のフランスにはホームでは勝利し、プレーオフではイタリアを蹴落とすなど、強豪国相手でも一歩も引かない精神的強さが光ります。代表引退を宣言していたFWイブラヒモビッチが本大会に復帰すれば、更に面白い存在となるでしょう。
 韓国は、厳しい戦いが予想されますが、パク・チソン以来のプレミアリーグスターであるソン・フンミン(トッテナム)の活躍に全てがかかっていると言っても過言ではないでしょう。

□  グループリーグ突破の可能性は、ドイツ95%、メキシコ55%、スウェーデン45%、韓国5%と見ています。

G組(ベルギー・パナマ・チュニジア・イングランド)

□  この組の欧州の2強は、B組のスペイン及びポルトガルと比較するとやや安定感に欠ける気がしますが、他の2か国との関係で見れば、グループリーグ突破は揺るがないでしょう。

□  ベルギーは、前回大会ベスト8、2016年ユーロもベスト8ながら、GKクルトワ、MFアザール(いずれもチェルシー)、DFコンパニ、MFデブライネ(いずれもマンチェスター・シティ)、FWルカク(マンチェスター・ユナイテッド)というセンターラインにタレントを擁し、欧州最終予選H組も9勝1分で欧州最速でW杯出場を決めるなど、優勝候補の一角といえるでしょう。
 イングランドは、欧州予選F組を8勝2分で1位通過しましたが、相手に恵まれた感があり、大幅に若返ったメンバーが本大会でどこまで力を発揮できるか注目です。なお、イングランドは、2017年のUー20とU-17のW杯をいずれも制しており、次回2022年W杯はより一層の期待ができます。
 パナマはW杯初出場で初勝利を、チュニジアは1978年大会以来のW杯2勝目を目指しており、実力的にみてグループリーグ突破は苦しい状況と言わざるを得ません。

□ グループリーグ突破の可能性は、ベルギー95%、イングランド85%、チュニジア15%、パナマ5%と見ています。

H組(ポーランド・セネガル・コロンビア・日本)

□  組み合わせ抽選翌日のスポーツ新聞を読むと、日本にとってこの組は恵まれたという報道が目立ちましたが、それはあくまでF組に入った韓国と比較した場合の話であり、客観的に分析すれば、日本がこの組の中で最も力量が劣ることは否定できないと思います。

□  日本の初戦の相手であるコロンビアは、前回のW杯のグループリーグ最終戦において、日本が勝てば決勝トーナメント進出の可能性があるという状況で戦い、1-4で完敗しました。今大会は前回負傷欠場したエースのファルカオが加わるため、日本としては守備を固めて失点を避け、最悪でも引き分けて勝ち点1を取る必要があります。
 日本の2戦目の相手であるセネガルは、2002年日韓W杯の開幕戦で前回優勝のフランスを倒してベスト8入りして以来の出場ですが、選手のほとんどは欧州の各リーグに所属し、アフリカ屈指のタレント集団と言われています。日本にとって手強い相手ですが、ここは何とか勝って勝ち点3を得たいところです。
 日本の最終戦の相手であるシード国のポーランドは、過去の日本の対戦成績からすれば2戦2勝であるものの、欧州最終予選E組で3度のハットトリックを決めた世界屈指のFWレバンドフスキを始め要所に実力者を擁しており、日本としては、第2戦までの結果を踏まえ、グループリーグ突破に向け攻守どちらに重点を置くか、しっかりとしたゲームプランが必要でしょう。

□ グループリーグ突破の可能性は、コロンビア70%、ポーランド60%、セネガル45%、日本25%と見ています。

決勝トーナメント

□  以上各国のグループリーグ突破の可能性を論じてきましたが、ここまで書きながら決勝トーナメントに触れないというのもいかがかと思いますので、各組で最も突破の可能性が高い国を1位通過、その次に高い国を2位通過と仮定して、決勝トーナメントを予想してみたいと思います。以下では、トーナメントの山を左右に分け、A、C、E、G組の1位が入る山を左ブロック、B、D、F、Hの1位が入る山を右ブロックと呼ぶことにします。

□  左ブロックは、ウルグアイvsポルトガル、フランスvsクロアチア、ブラジルvsメキシコ、ベルギーvsポーランドとなり、フランスvsブラジルの準決勝をフランスが制すると予想します。
 右ブロックは、スペインvsエジプト、アルゼンチンvsデンマーク、ドイツvsスイス、コロンビアvsイングランドとなり、スペインとドイツの準決勝をスペインが制すると予想します。
 その結果、決勝はフランスvsスペインのラテン対決となり、フランスが1998年以来2度目の優勝を果たすと予想します。

□  この原稿を書こうと決めたときは、大胆な予想をしてみたいと思っていましたが、いざ書いてみるとグループリーグについては至極順当な予想となってしまいました。予想の結果はさておき、W杯本番で沢山の好勝負が見られることを今から楽しみにしています。

以  上

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