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弁護士コラム・論文・エッセイ

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弁護士 石田 茂

1999年03月15日

陳述書について

 最近よく裁判所から陳述書の提出を求められます。元来、仮処分事件などは、申立人側の主張、事件の背景、緊急性などを裁判所に分ってもらい、仮処分命令を発することを促すために、担当者の陳述書を提出しておりました。ところが、最近は訴訟においても、本人尋問や証人尋問の主尋問の代わりに陳述書を提出することを求められます。本人尋問や証人尋問の主尋問を行なう場合は、事前に何度か打合せをして尋問の問答を書面にして(できれば芝居の脚本のように-ただし、「ここでため息」などのト書までは書きませんが)、それをもとに練習しますが、裁判所も練習をしているのは百も承知ですので、その主なところは陳述書にしてくれた方が時間の節約となると考えるのです。勿論、陳述書を出しても、要点は主尋問で行ないます。

 陳述書を作成するのに様々な方法があろうかと思います。しかし、いずれにしても過去の事実を文章化するというのは、なかなか困難な作業で、次のような点に注意して行ないます。

イ まず、当方で主張している事実全体の構成をしっかりと頭の中に容れることです。陳述書を作成する以前に、当方の主張を書面化した準備書面を提出していますので、その主張に沿うように過去の事実を構成することが必要となります。
ロ 次に、証拠をよく検討して、主張と証拠が齟齬しないようにすることが必要です。人の記憶は曖昧ですが、過去に作った書面-手紙、図面、契約書-に記載されていることは動かせません。ただ、書面に記載されていることが総て真実とは限りません。記載の意味自体が問題となることが多々あります。日付ですら当事者が動かしていることはよくあります。
ハ 都合の悪いことも書くことが必要となることがあります。証拠を見ると記載事項が当方に都合のよくないこともあります。この都合の悪いこと(都合のよいことしかない事件など、そうそうあるものではありません)について、何とか合理的な説明がつかないかと頭をしぼるのです。三人よれば文殊の知恵というときもありますし、「ごめんなさい」と素直に謝ることも必要な場合があります。人間誰しも誤りはあるのです。

 検事調書を作文だと批判した人がいましたが、過去の事実を再構成すれば、作文になることは仕方がないのです。しかし、抗うことのできない事実は厳然とあります。そのために、陳述書を作成する人には、なるべく全部本当のことを話してもらうようにしていますが、これができれば苦労はないというのが正直なところです。これを読んだ方の陳述書を作ることがないように祈っています-証人になるのは大変です。

(平成14年12月20日)

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