• 事務所概要
  • 企業の皆様へ
  • 個人の皆様
  • 弁護士費用
  • ご利用方法
  • 所属弁護士

弁護士コラム・論文・エッセイ

弁護士コラム・論文・エッセイ

イメージ
弁護士 石黒 保雄

2004年08月01日

私の好きな映画

 先日、当事務所のホームページを見たあるお客様から、「大学1年のときに古い映画を300本以上見たと書いているけれど、どの映画が一番好きなのか」と聞かれたことがありました。そのときは、「たくさんあって、1つに絞ることはなかなか難しいですね」と答えましたが、その後じっくりと考えてみると、順位を付けることはできなくても、好きな映画を列挙することは可能なので、この場をお借りして年代順にいくつかご紹介させていただきたいと思います。

カサブランカ(米・1943年)

 これは、有名すぎるほど有名な映画ですが、私にとっては何度見ても飽きない不思議な映画です。名場面、名セリフが目白押しで、イングリッド・バーグマンの美しさもさることながら、ハンフリー・ボガートの格好良さに痺れます。私は、第2次世界大戦中のヨーロッパを舞台とした歴史物や小説が大好きですが、その嗜好にピタリと合う映画でもあります。

 

死刑台のエレベーター(仏・1957年)

 これは、ヌーベルバーグの先駆けとなったサスペンス映画です。完全犯罪を目論んでいる最中にエレベーターが停止してしまったという舞台設定が秀逸で、その後の展開もスリルに溢れています。また、ジャズ好きの私としては、この映画におけるマイルス・デイビスの音楽にも惹きつけられました。そして、映像的にも新鮮で優れており、ラストシーンも見事だと思います。

情婦(米・1957年)

 これは、アガサ・クリスティの「検察側の証人」をビリー・ワイルダー監督が作品化した法廷物ですが、当時弁護士を目指して勉強を始めた私にとって、とても刺激になった映画です。ただ、内容については、「まだ見ていない人は幸せだ」という外なく、あえてコメントを差し控えたいと思います。なお、ビリー・ワイルダー監督は脚本の名人で、本筋以外の部分でも、チャールズ・ロートン扮する老弁護士とその秘書の女性とのやり取りなど、十分に楽しめるところが盛り沢山です。

甘い生活(伊・1960年)

 フェデリコ・フェリーニ監督の作品は、正直言って難解なものが多いのですが、これは比較的分かり易く、何も考えずに見ても面白いと思います。私がこの作品を好きな理由は、主人公のゴシップ記者マルチェロ・マストロヤンニを通じて、当時のローマの上流階級の生活、雰囲気を非常に上手に描いているところで、今でも見るたびに普段では絶対に味わえない別世界の雰囲気を楽しんでいます。

シェルブールの雨傘(仏・1964年)

 これは、東京でフランス国際映画祭というものが開催されたとき、多数の上映作品の中から選んで見に行った映画ですが、当時大学1年生だった私の心に強い印象を残しました。とても切なくロマンチックな映画で、フランスの港町シェルブールの街並みの美しさや(セットだったらごめんなさい)、カトリーヌ・ドヌーブの美貌(こちらは本物)に魅了されました。何より、セリフが全て歌で構成されている点が素晴らしく、フランス語でなければこれほど美しく仕上がることはないだろうと感心しました。そして、有名な主題歌も忘れ難い名曲だと思います。

ダイ・ハード(米・1988年)

 これは、日本での一般公開前、偶々試写会で見る機会を得ました。そのときは前評判も高くなく、知識も先入観も全くないまま、試写会場の一番前(スクリーンの目の前)で見たのですが、物凄い衝撃を受けました。アクションシーンも文句なく素晴らしいのですが、何より練り上げられた脚本が見事という外なく、試写会終了直後、友人に「これは絶対に大ヒットする」と興奮しながら電話をしたことを覚えています。

 ところで、今振り返ってみて、映画というのは、自分の人生のどの時点で見たのかによって、受ける感動や印象が大きく異なってくると思います。言い換えるならば、弁護士生活9年目で35歳の現在の自分では、大学1年生で19歳だった過去の自分のように、さまざまな映画を感受性豊かに捉えることがもはや不可能であろうと思います。ですから、大学1年生のときに見た上記の各映画を含む多くの映画は、自分の人生において、何度見ても当時を思い出させて楽しませてくれる、決して減らない貯金のようなものかも知れません。

以 上

(平成18年8月1日)

ページトップ