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弁護士 重富 智雄

2017年02月14日

企業内弁護士から法律事務所勤務に転身して

(丸の内中央法律事務所報No.30, 2017.1.1)

1.企業内弁護士から法律事務所勤務に転身して

 私が弊事務所にて勤務を開始してから、約1年が経ちました。企業内弁護士としての働き方と法律事務所での働き方の違いや、この1年間の経験で私が印象深く思ったことなどについて、ご紹介をさせて頂きます。

2.勤務時間という捉え方から案件単位という捉え方へ

 企業で勤務をしていた時は、出社時間・休憩時間・退社時間など、勤務時間への意識が強くありました。当時は会社PCを使用しての業務がほとんどで、家に案件を持ち帰ることもほとんどありませんでしたから、勤務時間を終えて会社を出た時点で、仕事が終わったという感覚になっておりました。そういう意味で、企業で勤務していたときは、「勤務時間」という感覚で仕事を捉えていたように思います。

 法律事務所での勤務の場合、依頼者の皆様からご依頼頂いた案件の処理が業務となりますので、「案件を処理できたかどうか」で仕事が終わったと感じるようになり、勤務時間という感覚は全くなくなりました。特に、ノートPCやタブレットを中心に仕事をするようになりましたので、家でも仕事が出来るようになり、仕事のことを意識しながら過ごす時間が格段に増えたように思います。

 どちらが良いかは一概には言えませんが、仕事に打ち込む時間を増やしたいと考えていた私にとって、日々多種多様な業務に携わらせて頂いる今の状況は非常に充実したものとなっております。

3.使いにくくなったSNS

  TwitterやFacebookなど、巷では様々なSNSサービスが溢れておりますが、法律事務所に転籍した後は、利用頻度がかなり減りました。

 SNSの場合、名前で検索出来てしまうことから、事件の相手方などが私のSNSページを見つけてしまうこともあるかもしれないと思い(仕事に関する投稿は当然しておりませんが)、当たり障りのない投稿を除き、自分から投稿をすることがめっきり減りました。

 元々大した内容を投稿していたわけではありませんが、自分の名前を出して仕事をすることの難しさを多少感じた次第です。

4.刑事弁護をやってみて

  企業内弁護士と法律事務所での仕事の大きな違いの一つに、刑事弁護があります。私は、これまで司法修習でしか刑事事件に携わったことがないのですが、刑事弁護をやりたいとの気持ちを学生時代から強く思っており、法律事務所に移籍することで、これが叶いました。この一年間の間に、当番弁護や国選弁護だけでなく、私選弁護のご依頼も頂くことができ様々なタイプの刑事弁護事件に取り組むことができました。

 刑事弁護は、捜査段階(起訴前)の場合、その多くが時間との戦いであり、接見のために警察署や検察庁に行ったり、示談交渉のために被害者の元を訪れたりするなど、移動時間や事実関係の調査等に、かなりの時間を要します。

 とある事件の当番弁護でも、午後1時頃に初回の接見を終えた後、翌朝までに勾留請求を争うこととなり、その日は完全にその事件につきっきりとなりました。接見から始まり、関係者へのヒアリング、身元引受人の確保、そして被疑者から話を聞くために再度接見に赴き、その後で裁判所への意見書を作成し、翌朝には裁判官面接も実施しました。

 非常に時間はかかりましたが、弁護側の主張を裁判所が認めてくれたようで、無事に勾留請求を却下してもらうことができました。無事に解放された被疑者を握手で迎えた瞬間、それまでの疲れが吹き飛ぶくらいの充実感を感じたことを今でも鮮明に覚えております。

 刑事事件は時間も労力も要する仕事ですが、基本的人権を擁護し、社会正義を実現するという弁護士の業務の根幹の一つでもあることから、刑事事件はこれからも定期的に受任して、幅広い弁護活動ができるようになりたいと思います。

5.祖父の形見の鞄

 法律事務所に転籍したら、仕事で取り扱う書類の量が確実に増加すると考え、仕事用の大きい鞄を新たに購入しようと思っていました。そうしたところ、祖父が生前愛用していた大きい鞄があると祖母から教えてもらい、これを譲り受けることになりました。祖父が他界してから20年近く押入れの奥で眠っていた鞄でしたが、非常に良い状態で保管されており、お店に頼んでクリーニングしてもらい、とても綺麗になりました。

 祖父が使っていたことを考えると、最低でも25年近く経っている鞄かと思われますが、これからも修理を重ねながら大事に使い続け、この鞄と共に弁護士人生を積み重ねて行きたいと考えております。

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クリーニングを施した直後の鞄


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