
2017年09月06日
(丸の内中央法律事務所事務所報No.31 2017.7.1)
私が丸の内中央法律事務所に入所して1年目に投稿したコラムが日本の古式泳法に関する記事でした。その後も日本泳法を細々と続けており、昨年は日本泳法大会に出場し、「教士」という資格を取得し、団体泳法競技(5人1組のチーム戦)でもメンバーの1人として出場して初めて優勝することができました。この場を借りて遅ればせながらご報告させていただきます。
今回は、水泳部に所属していたころに行っていた海洋遠泳やOWSについて簡単にご紹介したいと思います。
海洋遠泳といっても、様々な海域、様々な方法で遠泳が行われており、ドーバー海峡が有名かもしれませんが、中学校や高校の臨海学校で企画されている1キロから3キロ程度の遠泳もあり、リレー方式のものから団体で一緒に泳ぐ方式のものまで、全国様々な遠泳が企画されています。日本の古式泳法でも、三重県が発祥地の観(かん)海(かい)流や大分県が発祥地の山内流は遠泳を得意にしているようです。
私が所属していた水泳部では、高校生と大学生が一緒になって、夏に千葉県館山市の合宿所で約1か月間の合宿を行い、その間に15キロメートルから30キロメートル程度の遠泳を毎年3回行っていました。部員数や各自の泳力によって、毎年開催される遠泳の区間も異なり、年によっては津軽海峡横断遠泳や、相模湾横断遠泳が企画されたりしておりました。
その中でも毎年企画されていたのが館山市塩見の合宿所から南房総市岩井までの15キロメートルの遠泳であり、ほとんどの部員は入部して初めて泳ぐ遠泳がこの「塩見-岩井」遠泳でした。私も高校1年生のときにこの遠泳を泳ぐことになり、最初は泳げるか自信がありませんでしたが、結局は一緒に泳いだ全員と一緒に完泳することができ、達成感を得た記憶があります。
海で泳ぐ場合は、プールで泳ぐ場合と異なり、コースロープがないままクロールで泳ぎますので、目標を定める必要があり、また、緊急時のためにサポートをする必要もありますので、遠泳を泳ぐ部員の先頭には手漕ぎボートがホースを流しながら先導し、その周囲にはモーターボートを2,3隻配置して監視にあたっていました(写真1)。
写真1 泳者とボートで目的地を目指します
また、遠泳は、最も短い「塩見-岩井」遠泳であっても6時間程度かかりますので、休憩なく泳ぎ続けることは困難であり、30分に1回の休憩がありました。そこでは、船上の部員からスポーツドリンクを渡されたり、ウィダーインゼリーやカステラ、バナナなどを渡されたりして、栄養補給したりしました(立泳ぎで休憩ですが、海なのでよく浮きます)。
そして、海で泳ぐ場合に最も気をつけなければならないのは気象条件であり、台風や強風によって海が荒れてしまえば遠泳を行うことはできませんし、晴れていても潮流が速ければ目的にたどり着かないこともあります。例えば房総半島の南側には黒潮が流れておりますが、この流れに逆らって泳ぐことはできませんので(黒潮に逆らって泳いでも押し流されてしまいます)、様々な情報を収集して遠泳を計画しなければなりません。遠泳は長時間に及ぶため、日の出前に準備することも多く、遠泳当日になるまで実行できるかどうか分からないということもありました。
このように、海洋遠泳は、プールでの水泳と異なり自然を相手にするために考慮しなければならないことが多く、それが難しい面でもあり、おもしろい面でもあります。
遠泳よりも競技性を高めた大会として、3人一組で熱海沖の初島から熱海サンビーチまで約10キロを泳ぐ初島熱海間団体競泳大会があります。毎年8月4日に開催され、30チームが参加し、優勝チームは約2時間でゴールします。私も出場したことがありますが、約10キロメートルを全力で泳いで他のチームと競り合うというのは非常に辛い反面、ゴールに辿り着いたときには非常に達成感があります。
最近は、OWS(Open Water Swimming)という、海や河川で泳ぐ水泳競技がオリンピックに競技にもなり、日本でも全国各地で様々な大会が開催され、400メートルから参加できる大会もあるようです。私は最近全く出場できておりませんが、ほとんどの大会は1人から出場できますし、海辺で行われるためかプールの水泳大会より娯楽的な色彩があって、自分のスピードで完泳を目指せるというのが魅力ではないかと思います。
以上ご説明した海洋遠泳やOWSは、あまり馴染みのない方も多いかと存じますが、現在は様々なOWS大会が全国各地で開催されており、クリニックも開催されています。ご興味のおありになる方は、ちょっとした遠泳気分で出場されるのはいかがでしょうか。記録に拘らなければ、きっと達成感を味わうことができるのではないかと思います。