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ホーム企業の皆様へ株主総会関連判例株主総会及び招集手続における手続的な問題が争われた事例(24件)一覧 > 招集通知の瑕疵等を理由とする株主総会決議の取消請求を認めないとする原審判決が是認された事例(東京高判令3・12・16 商事法務№2298・57)
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招集通知の瑕疵等を理由とする株主総会決議の取消請求を認めないとする原審判決が是認された事例(東京高判令3・12・16 商事法務№2298・57)

2023.10.30

(R5-⑷)

① 事案の概要

 Xは、海運業等を事業として行うYの大株主であるが、Yが令和元年6月及び令和2年6月開催の定時株主総会における株主総会決議の取消しを求めて提訴した。

 原審は、Xの請求をいずれも却下ないし棄却したため、Xがこれを不服として控訴したのが本件である(原判決の判示は、株主総会の実務<資料版>」令和4年度版68頁以下に詳細に記載されているため、そちらを参照されたい。)。

 本件の争点は多岐に亘るが、本稿では、特に重要と思われる次の3点について説明する。

 なお、後記⑴(訴えの利益の有無)については、Xが取消しを求めていた買収防衛策導入に係る決議が、原判決言渡後の株主総会決議により廃止されたため、控訴審において新たに争点として浮上したものである。

  ⑴ 訴えの利益の有無

  ⑵ 招集通知の発送日ないし議決権行使書面の行使期限に関する適法性

  ⑶ 不適切集計処理を取消事由として追加することの可否

② 決定要旨 

  控訴審は、次のように述べて原審の結論を是認した。

 1 訴えの利益の有無

    「原判決言渡後の(中略)総会において、本件買収防衛策は廃止されたものと認められる。(中略)
 そうすると、(中略)本件買収防衛策導入決議を取り消しても何ら法的な効果は生ぜず、同決議を取り消すことに実益があるとは認められないから、(中略)訴えの利益は失われたものと認めるが相当である。

 2 「争点2(本件投票用紙による議決権行使の有効性)について

    株主総会における表決の方法について法令上特段の規定は存在せず、出席者の意思を算定し得る方法であれば差し支えないと解するのが相当であり、本件投票用紙には賛否の表示がない場合には賛成の意思を表示したことになる旨が明記されており、賛否を記載せずに本件投票用紙を提出した株主は賛成と取り扱われることを事前に理解して賛成の意思を表示したものと認めることができるから、本件投票用紙による議決権行使が法令違反又は著しく不公正な決議方法であって無効であるということはでき(中略)ない。」

 3 「争点4(本件不適切集計処理による令和元年総会決議の(中略)取消事由追加の可否)について

    昭和五一年最判の趣旨は会社法八三一条一項に基づく株主総会決議取消の訴えにも同様に当てはまり(中略)、本件において追加主張を許容すべき特段の事情や、Y社が取消事由の追加は許されないと主張することが権利の濫用に当たることを基礎付ける事情を認めるに足りる的確な証拠はない。」

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