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ホーム企業の皆様へ株主総会関連判例株主総会及び招集手続における手続的な問題が争われた事例(24件)一覧 > 新株予約権の無償取得を目的とする株主総会の招集許可申立が認められなかった事例(名古屋地決令3・7・14 商事法務№2284・61)
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新株予約権の無償取得を目的とする株主総会の招集許可申立が認められなかった事例(名古屋地決令3・7・14 商事法務№2284・61)

2023.10.17

(R4-⑽)

① 事案の概要

   Yの議決権の3%以上を6か月前から保有するX社が、「2021年4月24日付で無償割当の効力が発生した新株予約券無償取得の件」(以下「本券議題」という)を株主総会の目的として、Yに対して株主総会の招集を請求したが、Yがこれに応じないため、裁判所に対して同総会の招集許可を申し立てた。

② 決定要旨

   Y社のような取締役会設置会社においては、所有と経営の文理の観点から、株主総会は会社法に規定する事項及び定款で定めた事項に限り決議することが出来るとされており(会社法295条2項)、同条項は、株主総会の権限の限界を定めるものと理解できる。

   そして、会社法297条1項にいう「株主総会の目的である事項」とは、同条項が一定の事項を株主総会の目的として株主総会を招集する権利である以上、その権利行使の対象となる一定の事項は、自ずから株主総会の権限に属する事項、すなわち、取締役会設置会社においては上記のとおり、会社法に規定する事項及び定款で定めた事項に限定されると解される。このように解さないと、いたずらに株主総会の招集請求がされることにもなりかねないし、取締役会が迅速な業務執行を行うことができなくなるおそれもあり、会社法295条2項の趣旨に反することとなる。

   そこで、本件招集請求に係る議題が、会社法に規定する事項及び定款で定めた事項に含まれるか否かについて検討する。

   本件招集請求にかかる議題の内容は、Y社が発行済みの本新株予約権を(中略)無償で譲渡することを取締役会に求めるものであるところ、本新株予約権は、取得条項付新株予約権であり、新株予約権の取得に関する事項は、会社法上取締役会の権限とされている(会社法273条1項)。本新株予約権の内容としても、取締役会が定める日に本新株予約権を取得することができるとされている(中略)。そして、Y社の定款にも本件招集請求に係る議題について株主総会の権限とする定めはない(中略)から、本件招集請求に係る議題は、会社法の権限外の事項であるというべきである。

   そうすると、本件招集請求は、「株主総会の目的である事項」について招集請求をしたとは認められないから、本件申立は不適法であるといわざるを得ない。

   

 
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