• 事務所概要
  • 企業の皆様へ
  • 個人の皆様
  • 弁護士費用
  • ご利用方法
  • 所属弁護士

企業の皆様へ

企業の皆様へ

ホーム企業の皆様へ株主総会関連判例株主総会及び招集手続における手続的な問題が争われた事例(24件)一覧 > 招集通知の瑕疵を理由とする株主総会決議不存在確認請求等が一部認容された事例(大阪高判令3・7・30 金融・商事判例№1627・17)
イメージ

招集通知の瑕疵を理由とする株主総会決議不存在確認請求等が一部認容された事例(大阪高判令3・7・30 金融・商事判例№1627・17)

2023.10.17

(R4-⑺)

① 事案の概要

Xらは、自らがYの株主であると主張して、Y₁及びその代表者であるY₂に対し、下記の通り請求する訴訟を提起した。

 ⑴ X₁がYらに対し、Y₁の株式30万株を有する株主であることの確認(請求①)。

 ⑵ X₂がYらに対し、Y₁の株式30万株を有する株主であることの確認(請求②)。

 ⑶ Xらが、Y₁に対し、平成26年1月18日付臨時株主総会における決議が不存在であることの確認(請求③)。

 そのほか、X₁がY₂に対し、虚偽の内容の議事録を作成したことを理由とする不法行為に基づく損害賠償を求めているが、紙幅の関係で省略する。

 原審は、請求①の一部並びに請求②及び③の全部を認容したので、当事者双方がこれを不服として(附帯)控訴した。

② 決定要旨

2 Yらの当審における主張

 ⑴ 原判決中、請求①の一部を認容した部分について
X₂からX₁への株式贈与契約書(中略)とY₂からX₁への株式贈与契約書(中略)は、いずれも平成17年2月14日に公証人(中略)による確定日付印が押印されており、その番号は連続しているのであり、(中略)、Y₂からX₁への株式贈与は、Y₂からX₁への株式贈与に伴って行われたもので、Y₂の指示によるものと推認することができる。Y₂とX₁との間の贈与契約の成立については争いがない以上、X₂か名義の株式がY₂の所有であったとしても、X₂名義の株行も同時に贈与されたものとみるのが相当である。(中略)
 ⑵ 原判決中、請求②を認容した部分について
平成18年新株発行後のY₁の株主名簿においては、Y₂名義の株式が12万5000株、X₂名義の株式が20万株とされたのであり(弁論の全趣旨)、平成18年新株発行に当たってX₂名義で20万株に相当する8000万円の払込みがされたと認められる。平成18年新株発行がされた日に、X₂名義の口座において1億6000万円の振り替えがされたことは、上記の払込みがされたことを裏付けるものと解される。他方、YらはY₂が上記20万株に対する払込をした事実について具体的な立証をしておらず、Yらの主張は採用することができない。
 ⑶ 原判決中、請求③を認容した部分について
株主全員の同意がある場合は、株主総会の招集手続を省略することができるが(会社法300条本文)、この同意は特定された株主総会についての同意である必要があり、包括的な同意は許されない。したがって、Xらの包括的同意があったので本件各決議は不存在ではないというY₁の主張は採用することができない。また、Xらの個別の同意を得たとするY₁の主張は、これを認めるに足りる証拠がないので採用することができない。

3 X₁の当審における主張(請求①)に対する判断

 ⑴ 原判決中、請求①に係る訴えの一部を却下した判断部分について
Yらは、X₁がY₁の24万1818株の株式を有する子とを認めているところ、Yらが上記株式の株主権について争う具体的な可能性が立証されていない以上、上記株式についての株主権の確認請求については確認の利益を欠くというほかない。
 ⑵ 請求①の一部を棄却した部分について
中略)しかしながら、上記30万株のうち1万6111株についてはX₁が受贈の思表示を意したことについての具体的な主張立証がされていない以上、X₁の主張する事情から直ちに1万6111株についての贈与契約の成立を認定することはできず、 X₁の上記主張は採用することができない。
ページトップ