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ホーム企業の皆様へ株主総会関連判例株主、取締役の地位の喪失について争われた事例(7件)一覧 > 株主総会決議が不存在であるとして取締役の地位が否定された事例(東京高決平31・2・14 金融・商事判例№1564・28)
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株主総会決議が不存在であるとして取締役の地位が否定された事例(東京高決平31・2・14 金融・商事判例№1564・28)

2023.10.19

(R2-⑷)

① 事案の概要

 Xは、Xの弟と母親が代表取締役を務めるA株式会社(以下「A社」という)について、代表権を有しないYが、A社を代表して、子会社株式の買戻契約を締結する等したことから、A社は、Yに対し、不当利得返還請求権(以下「本件不当利得返還請求権」という)を取得したところ、かかる債権をA社からXが譲り受けたと主張して、債権者としてYの破産手続開始申立てを行った。申立てを受けた裁判所は、Yが支払不能状態にあるとして破産手続開始決定をしたところ、Yが、本件不当利得返還請求権の有無等を争い、即時抗告を申し立てた。

 なお、A社の平成23年総会議事録には、Yのほか取締役が出席し、Xの母親を含む辞任の申出をした取締役の後任として、Yが選任されたと記載され、その旨の登記もされていた。

② 決定要旨

 「A社の平成23年株主総会の議事録には、Yのほか取締役等が出席したと記載されているが、(中略)、当該議事録の記載を以て、平成23年総会が開催された事実を裏付けるものとはいえない。その他平成23年総会の開催の事実を認めるに足りる的確な証拠はない。

 そうすると、平成23年総会が開催されたとは認められないから、平成23年総会決議は不存在というべきであり、Y及びCが平成23年総会決議により取締役に選任されたとは認められない。また、取締役ではないYが代表取締役に選任されることもない。(中略)

 以上によれば、A社では、平成23年総会から平成27年5月18日の株主総会までの取締役選任決議はいずれも不存在であり、これに対応する取締役の就任及び重任の登記は実態がなく、Yの代表取締役の就任及び重任の登記も同様である。(中略)

 B社株式買戻契約及び平成26年消費貸借契約は、YがA社の代表取締役でないのに、YがA社の代表取締役として締結したものであるから、無効であると認められる。そして、Yは、A社からB社株式買戻契約の代金として18億9924万6000円を、平成26年消費貸借契約の貸金として4億円をそれぞれ受領しているから、A社はYに対して本件不当利得返還請求権(中略)を有していたと認められる。」

 

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