
2023.10.18
(R3-⑷)
Yの株主であるX(Yの総株主の議決権100分の3以上の議決権を6ヶ月前から引き続き保有している)は、Yの代表取締役に対し、定款の一部変更(商号変更)及び取締役6名選任の件(以下「本件議題」という)を目的とする臨時株主総会の招集を請求したが、Yの代表取締役はこれに応じなかった。そこで、Xは、東京地方裁判所に対し、本件議題を目的とする株主総会を招集することの許可申立て(以下「本件申立て」という)をしたところ、Yは、株主名簿管理人であるZが通常よりも短縮した日程案を提示したことを受け、本件議題について審議するための臨時株主総会を招集することを決定した。
しかしながら、Xは、本件申立ての審理において、Yが株主らに「QUOカードを送付する」旨の記載がある「株主様アンケート」と証する葉書を送付したこと等から、公正な株主総会の開催が期待出来ないと主張して、本件申立てに対する裁判所の判断を求めた。
原審の東京地方裁判所がこれを却下したため、Xが不服として抗告した。
「Yは、株主名簿管理人であるZから株主総会開催の最短スケジュールの日程案の提供を受け(中略)、同年11月20日を本件臨時株主総会の開催日と決め、原審裁判所に対して、同年11月20日までに本件臨時株主総会を開催する旨の誓約書(中略)を差入れ、同年9月8日に、本件臨時株主総会の開催について適時開示し(中略)、同月15日には、電子公告により基準日設定広告を開始した(中略)ことに加え、Yは、裁判所に提示したスケジュール(中略)どおり、同年11月5日に本件臨時株主総会の招集通知を発出し(中略)、同招集通知と併せて本件臨時株主総会の付議議案の追加および会場の変更について適時開示したこと(中略)が認められることからすれば、本件臨時株主総会が開催される蓋然性が高いといえる。
(中略)
Yの本件臨時株主総会が令和2年11月20日に開催される蓋然性が高いところ、(中略)、裁判所がXによる株主総会の招集を許可したとしても、本件臨時株主総会より前に株主総会を開催することができる見込みがない特段の事情が認められるというべきであるから、Xの株主総会の招集許可を求める申立ての利益は失われているといわざるを得ない。」