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ホーム企業の皆様へ株主総会関連判例株主総会の決議の有効性が問題となった事例(22件)一覧 > 監査役会の同意を欠く監査役選任決議について、裁判所が裁量棄却(法831Ⅱ)をした事例(東京地判平24・9・11 金融・商事判例№1404・52)(イー・キャッシュ株式会社)
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監査役会の同意を欠く監査役選任決議について、裁判所が裁量棄却(法831Ⅱ)をした事例(東京地判平24・9・11 金融・商事判例№1404・52)(イー・キャッシュ株式会社)

2023.11.07

(H25-⑵)

① 事案の概要

 イー・キャッシュ株式会社(以下、「被告」という)が臨時株主総会を開催し、取締役会の提案にかかる取締役及び監査役選任の議案を付議するとともに、株主提案にかかる取締役及び監査役解任並びに取締役選任の議案を付議した。

 原告らは、被告の株主、取締役及び監査役の3名であるところ、監査役選任議案に監査役会の同意がないことを理由に株主総会決議の取消しを求めるとともに、株主総会に対する議案の付議について取締役会の決議がなされていないことを理由に株主総会決議の取消しを求めた。

② 判決要旨

ア 監査役会の同意について

 監査役選任議案について、被告の監査役会の同意があったと認めることはできない。監査役3名のうち1名の招集及び出席を欠く同監査役会における同意は、少なくとも被告の監査役会の同意としては無効であり、監査役選任議案の決議には、その付議につき、監査役会の同意を欠くという取消事由(招集手続又は決議方法の法令違反)がある。

 しかしながら、被告の監査役の過半数に当たる2名は、本件株主総会に監査役選任議案を付議することに同意し又はこれを追認している上、本件株主総会に監査役選任議案を付議する旨の決定をした被告の取締役会においても、被告の監査役3名から監査役選任議案の監査役候補者につき特段の異議は述べられなかったこと等の本件における事情を考慮すると、本件株主総会への監査役選任議案の付議につき監査役会の同意を欠いたことは、少なくとも本件における事情の下では(株主総会参考書類への記載をも含めて)重大な違反事実ではなく、かつ、議案の決議に影響を及ぼさないものと認められるから、原告による監査役選任議案の決議の取消請求は、会社法831条2項により棄却するのが相当である。

イ 取締役会の決議について

 取締役会の決議の方法については、挙手、起立、投票等の採決の手続が取られなくとも、必要な議決権数に達したことが明白になれば、その時に表決が成立したものと解すべきである(もっとも、株主提案議案に対する取締役会の意見は、提案者以外の株主が賛否の意思決定を行うに当たり有用な情報となるものであるから、取締役会において明示的に採決されることが望ましい。)ところ、本件取締役会に出席した取締役の少なくとも過半数は、本件株主総会の第4号議案及び第5号議案につき、具体的な提案理由の記載がないため被告の取締役会として特段の賛否を表明しないこととすべきである旨の意見を明示又は黙示に表明している。そして、本件取締役会は、本件株主総会に係る招集通知等の発送前における最後の取締役会であったと考えられること、本件取締役会の約5日後には本件株主総会に係る招集通知等の発送が行われていること(当該招集通知等の印刷所への入稿時期は、これより前であったことがうかがわれる。)等の事情をも併せ考慮すれば、当該意見は、取締役の過半数の確定的な意見であったと認めるのが相当であるから、当該意見についての表決は、本件取締役会において成立したものと認められる。

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