
2023.10.23
(H30-⑷)
非公開会社であるYは、①株主総会の議決権の数及び②剰余金の配当に関して、株主ごとに異なる規定を定款に新設する旨の決議を行ったところ、Yの株主であるXが、上記決議は株主平等の原則に反すると主張して、本件決議の無効確認等を求めて提訴した。
条文の文言及び位置関係に照らせば、属人的定めの制度は、株主平等原則の例外として置かれたものであり、同制度について同法109条1項が直接適用されることはないといわざるを得ない。
しかしながら、(中略)株主ごとの異なる取扱いの内容の定め方については、(中略)自ずと限界があるものというべきである。
そうすると、属人的定めの制度についても株主平等原則の趣旨による規制が及ぶと解するのが相当であり、同制度を利用して行う定款変更が、具体的な強行規定に形式的に違反する場合はもとより、差別的取扱いが合理的な理由に基づかず、その目的において正当性を欠いているような場合や、特定の株主の基本的な権利を実質的に奪うものであるなど、当該株主に対する差別的取扱いが手段の必要性や相当性を欠くような場合には、そのような定款変更をする旨の株主総会決議は、株主平等原則の趣旨に違反するものとして無効になるというべきである。(中略)
本件決議は、原告らを被告の経営から実質的に排除し、原告らの財産的犠牲の下に、Dらによる被告の経営支配を盤石ならしめる目的で行われたものであるといわざるを得ない。
そうすると、本件決議は、その目的において正当性を欠いており、株主平等原則の趣旨に違反するものというべきである。(中略)
本件決議は、原告の基本的な権利を実質的に奪うものであり、原告に対する差別的取扱いが手段において相当性を欠いているものといわざるを得ず、この点においても、株主平等原則の趣旨に違反するものというべきである。(中略)
そうすると、本件決議は、決議の内容自体が法令に違反するものとして無効であるというほかない。