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ホーム企業の皆様へ株主総会関連判例株主総会の決議の有効性が問題となった事例(22件)一覧 > 特定の議案を否決する株主総会決議の取消しを求める訴えが却下された事例(最二小判平28・3・4 金融・商事判例№1498・48)(ARS VIVIENDI株式会社)
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特定の議案を否決する株主総会決議の取消しを求める訴えが却下された事例(最二小判平28・3・4 金融・商事判例№1498・48)(ARS VIVIENDI株式会社)

2023.10.25

(H29-⑴)

① 事案の概要

 ARS VIVIENDI株式会社(以下「被上告人」という)の株主総会(以下「本件株主総会」という)において、被上告人の株主兼取締役であった上告人らを取締役から解任する旨の議案が提案されたが、これが否決された(以下「本件否決決議」という)。

 本件否決決議を受け、上記議案を提案した被上告人の株主兼取締役であるAが、上告人らを取締役から解任する内容の訴えを提起すると、上告人らが、本件株主総会はAが取締役の過半数の同意を得ずに単独で招集したものであって、招集手続に瑕疵が存在するとして、会社法831条1項1号に基づき、本件否決決議の取消しを求めて訴えを提起した。

 上告人らは、本件否決決議が取り消されれば、別途上告人らに対して提起されている役員の解任の訴えが不適法として却下されることとなるから、本件訴えは適法である旨主張したため、本件否決決議取消の訴えの適法性が問題となった。

② 決定要旨

 会社法は、会社の組織に関する訴えについての諸規定を置き(同法828条以下)、瑕疵のある株主総会等の決議についても、その決議の日から3箇月以内に限って訴えをもって取消しを請求できる旨規定して法律関係の早期安定を図り(同法831条)、併せて、当該訴えにおける被告、認容判決の効力が及ぶ者の範囲、判決の効力等も規定している(同法834条から839条まで)。このような規定は、株主総会等の決議によって、新たな法律関係が生ずることを前提とするものである。

 しかるところ、一般に、ある議案を否決する株主総会等の決議によって新たな法律関係が生ずることはないし、当該決議を取り消すことによって新たな法律関係が生ずるものでもないから、ある議案を否決する株主総会等の決議の取消しを請求する訴えは不適法であると解するのが相当である。このことは、当該議案が役員を解任する旨のものであった場合でも異なるものではない。

 以上によれば、本件否決決議の取消しを請求する本件訴えは不適法であって、これを却下した原判決は、正当として是認することができる。論旨は採用することができない。

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