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ホーム企業の皆様へ株主総会関連判例株式取得価格の決定が問題となった事例(2件)一覧 > 全部取得条項付種類株式の取得に係る株主総会基準日後に株式を取得した株主の取得価格決定申立権の有無が争われた事例(東京地決平25・9・17 商事法務№2020・88)(株式会社セレブリックス)
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全部取得条項付種類株式の取得に係る株主総会基準日後に株式を取得した株主の取得価格決定申立権の有無が争われた事例(東京地決平25・9・17 商事法務№2020・88)(株式会社セレブリックス)

2023.10.27

(H26-⑷)

① 事案の概要

 株式会社セレブリックス(以下「セレブリックス」という。)がMBOを実施することとし、全部取得条項付種類株式の取得に関する議案を付議する臨時株主総会を開催した。これに対し、自らが保有するセレブリックス株式の大半を、当該臨時株主総会の基準日後に取得した株主(以下「申立人」という。)が上記株式の取得に反対し、会社法172条1項に基づき、裁判所に対し、同社株式の取得価格決定を申し立てた。

 全部取得条項付種類株式を取得するための株主総会基準日後に当該株式を取得した者が、取得価格決定申立権を有するかが問題となった。 

② 決定要旨

 会社法172条2項は「当該株主総会において議決権を行使することができない株主」と規定するのみであり、他に基準日後に取得した株主に取得価格決定の申立権を認めない旨の明文の規定は存在しない。また、株主が株式の全部取得に係る株主総会の基準日後に株式を取得した場合であっても、その時点において、当該株主が株主総会の議案を認識しているとは限らず、全部取得に係る株主総会決議が成立することが決定しているものでもない。実質的にも、基準日後に株式を取得した株主は、株式の全部取得に係る株主総会の決議において議決権を有しないとしても、その後の株式の全部取得に係る取得価格決定の申立権までも有しないものと解すべき必然性はなく、全部取得によって株主は強制的に株式を取得されることや、一般的に基準日から株主総会決議の日まで相当の期間が設定される可能性があることに照らすと、基準日後に株式を取得したことをもって、当該株主に対しその投下資本の回収の機会を保障しないとする合理的な理由があるものと認めることはできない。このことは、株式会社が基準日後に取得した株主の総株式数やその後にされる反対株主による取得価格決定の申立及びその取得価格を把握できない事情があるとしても同様である。

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