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ホーム企業の皆様へ株主総会関連判例株主名簿の閲覧等の可否が争われた事例(3件)一覧 > 株主が公開買付けへの応募及び委任状の各勧誘等の目的を有することは株主名簿の閲覧拒否事由に該当しないとされた事案(東京地決平24・12・21 金融・商事判例№1408・52)(株式会社アコーディア・ゴルフ)
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株主が公開買付けへの応募及び委任状の各勧誘等の目的を有することは株主名簿の閲覧拒否事由に該当しないとされた事案(東京地決平24・12・21 金融・商事判例№1408・52)(株式会社アコーディア・ゴルフ)

2023.10.27

① 事案の概要

 株式会社アコーディア・ゴルフ(以下「債務者」という。)の株主であり、同社の発行する株式について公開買付けを開始したPGMホールディングス株式会社(以下「債権者」という。)が、会社法125条2項に基づき、債務者の株主名簿閲覧謄写の仮処分を申し立てた。

 債権者の目的は、①債務者の株主に対し同公開買付けへの応募を勧誘するため(公開買付勧誘目的)、及び②債務者が臨時株主総会を開催した場合に同社の株主に対し議決権の代理行使を勧誘するために(委任状勧誘目的)、同社の株主名簿に記載されている株主の氏名、住所等を把握することにあった。

 かかる請求について、債務者が、閲覧拒否事由を定める会社法125条3項各号に基づき、閲覧を拒否し得るかが問題となった。

② 決定要旨

  

 ア 会社法125条3項1号該当性について

   公開買付勧誘目的及び委任状勧誘目的での株主名簿閲覧請求は、次の理由から、いずれも「株主の権利の確保又は行使に関する調査以外の目的」とは言えない。

 (ア) 公開買付勧誘目的

    株主総会における多数決原理が妥当する株式会社においては、自己が保有する株式数を増加させ、株主総会における発言権を強化することは、株主の権利の確保又は行使の実効性を高めるための最も有力な方法といえ、このような株式譲受けの目的で現在の株主が誰であるかを確認することは、「株主の権利の確保又は行使に関する調査」に該当する。そして、この理は、上場会社を対象とする公開買付けの場合も異ならない。

 (イ) 委任状勧誘目的

    議決権の代理行使を勧誘するなど、自己に賛同する同志を募る目的で株主名簿の閲覧謄写の請求をすることは、株主の権利の確保又は行使に関する調査の目的で行うものと評価すべきである。

 イ 会社法125条3項3号該当性について

   会社法125条3項3号の「請求者が当該株式会社の業務と実質的に競争関係にある事業を営み、又はこれに従事するものであるとき(以下「実質的競業関係」という。)」とは、単に請求者が会社の業務と競争関係にある事業を営むなどしているだけではなく、株主名簿の記載情報が競業者に知られることによって不利益を被るような性質・態様で営まれている事業について、請求者が会社と競業関係にある場合に限られると解するのが相当である。

   本件の債権者及び債務者は、いずれも、自ら又は子会社等を通じてゴルフ場の運営を行うことを主たる事業としており、両者は形式的には競業関係にあるといえるものの、同事業が、株主名簿の記載情報が競業者に知られることによって不利益を被るような性質・態様で営まれているものとはいえず、債権者と債務者が実質的競業関係にあるとはいえない。

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