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駐車場賃貸業界の皆様へ・・・【第1回】月極駐車場契約の落とし穴―契約書で必ず押さえるべきポイント

2026.06.19

【第1回】月極駐車場契約の落とし穴 ― 契約書で必ず押さえるべきポイント

駐車場経営、とりわけ月極契約は、しばらく建物を建築する予定のない土地について、安定した収益を確保するうえで重要なビジネスモデルです。しかし、実務では「契約書を簡略化しすぎてトラブルが起きる」ケースもあります。建物が建っていない土地に関する賃貸借契約は借地借家法の適用を受けませんが、その法律的な整理が曖昧なまま契約が締結される場合もあります。今回は、経営者が知っておくべき契約書のチェックポイントを、典型的なトラブル事例を交えながら解説します。

1. 更新条項 ― 「自動更新」か「再契約」か

典型トラブル
契約期間満了に伴い、オーナーが契約終了を通知しても、利用者が「契約は更新される」として引き続き駐車場を使用できる権利を主張することがあります。

実務上の対応
• 契約書に「満了時に自動更新される」か「更新されず再契約が必要」かを明記
• 自動更新の場合は、更新後の賃料・条件がどうなるかも定める
• 契約終了を明確にしたい場合は「終了時は明渡し義務を負う」と記載
<参考裁判例>
建物賃貸借契約と一体で駐車場契約が締結されている場合、建物賃貸借契約の更新に伴い駐車場契約が更新されると判示した裁判例があります(東京地判平成2年11月29日判時1395号100頁)。また、契約解釈により更新が認められた事例もあります(東京地判平成4年9月28日判時1467号72頁)。したがって「契約書での明記」が最も重要です。

2. 登録車両の制限とサイズの問題

典型トラブル
契約時に軽自動車で登録していた利用者が、後に大型SUVに乗り換え、駐車スペースからはみ出す事態が発生。他の利用者が通行しづらくなり、事故につながる場合があります。

実務上の対応
• 契約書に「車両ナンバー・車種・サイズを登録」させる
• 車両変更時には事前承諾を要する旨を明記
• サイズオーバーが判明した場合は契約解除できる条項を設ける

ポイント
駐車場は「区画」という物理的制約があるため、利用車両の管理は不可欠です。その他、トランクケースなどを置いても良いか等も明記しておくと良いと考えます。

3. 解約申入れと予告期間

典型トラブル
利用者が突然「来月から解約します」と申し入れ、空区画が発生してしまうケース。経営計画に大きな影響が出ます。

実務上の対応
• 「解約は1か月前/2か月前に申し入れる」と予告期間を設定
• 予告期間を守らなかった場合の違約金を定める
• 長期安定利用を確保したい場合は「最低利用期間」を設定
*参考 駐車場の賃貸借契約は必ずしも借地借家法の対象とは限りません。したがって自由に条項を設ける余地があります。

4. 駐車中の損傷と責任の分担

典型トラブル
「隣の車に傷がついた」「区画に油が漏れて地面が汚れた」など、駐車中の損傷をめぐって責任の押し付け合いが発生。オーナーに対して「管理責任がある」と主張されることもあります。

実務上の対応
• 原則として「利用者自身の責任」と明記
• 施設の瑕疵(舗装の陥没や設備の不具合)が原因の場合はオーナー責任
• 事故が発生した場合の連絡義務・処理方法を契約書に規定

<参考裁判例>
コイン式駐車場のフラップ版が上がったままであったために自動車が損傷した場合に駐車場管理会社の損害賠償責任が認められた事例や(平成23年8月10日時歩ジャーナル1868号186頁)、駐車場のぬかるみについて賃貸人の修繕義務違反による損害賠償責任が認められた事例があります(東京地判平成5年10月1日判時1497号82頁)。日常的な駐車場の管理と、契約による責任分担の明記を検討する必要があります。

5. 保険・免責条項の工夫

駐車中の事故や盗難をめぐって「駐車場に責任があるのでは」と主張されることがあります。
• 契約書に「管理者は車両の盗難・損害について責任を負わない」と免責条項を明記
• 併せて「利用者は自動車保険で対応すること」を義務づける
これにより、経営者側のリスクを最小化できます。

• 「本契約の更新は行わず、期間満了と同時に終了する」
• 「契約車両は登録されたものに限る。変更時は事前に承諾を得ること」
• 「解約は2か月前までに書面で通知しなければならない」
• 「利用者の責に帰すべき事由により生じた損害は利用者が負担する」

まとめ ― 契約書の整備は経営の安定につながる

月極駐車場契約は、一見シンプルに見えても実は法的にはトラブル予防を注意するべき分野です。契約書に数行加えるだけで、将来のトラブルを未然に防ぐことができます。
弁護士としては「すでにトラブルになった案件の相談」よりも「契約段階から相談いただく」方が、結果的にコスト削減につながると感じています。
駐車場経営を安定させる第一歩は、契約書の見直しから始まります。

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